企業・団体との連携による出張レッスン・イベント開催の進め方

「自分の教室の魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたい」

「普段のレッスンだけでなく、新しい収益の柱を作りたい」

「地域にもっと貢献できる活動がしたい」

そうお考えの教室運営者の方にとって、企業や地域の団体と連携した「出張レッスン」や「イベント開催」は、教室の成長を加速させる非常に有効な戦略です。

教室という「場」を飛び出し、外部と連携することで、新たな生徒さんとの出会いが生まれるだけでなく、教室のブランド価値や信頼性も大きく向上します。

しかし、「どうやって提携先を見つければいいの?」「どんな風に提案すればいいの?」と、最初の一歩をためらってしまう方も多いかもしれません。

この記事では、企業や団体との連携を成功させるための具体的なステップを、提携先の探し方から企画書の作り方、契約時の注意点まで、詳しく解説していきます。

1. なぜ「外部連携」が有効?教室の成長を加速させるメリット

教室の外に出て活動することには、多くのメリットがあります。

  • 新規顧客へのアプローチ
    普段の広告や口コミだけでは出会えなかった、全く新しい層の親子に、あなたの教室の存在と魅力を知ってもらう絶好の機会です。
    イベント参加が、未来の入会に繋がります。
  • 収益源の多様化
    月謝収入だけでなく、イベントの参加費や、企業からの講師料など、新たな収益の柱を確立することができます。
    これにより、教室の経営基盤がより安定します。
  • 教室のブランド価値・信頼性の向上
    地域の商業施設や信頼ある企業、公的機関などと連携することで、「あのイベントをやっていた教室だ」と認知され、教室のブランド価値と社会的信用が格段に高まります。
  • 新たな指導経験・実績の獲得
    いつもと違う環境、異なる年齢層や人数の子供たちを指導することは、先生自身のスキルアップに繋がります。
    「〇〇社のイベントで講師を担当」といった実績は、今後の大きなアピールポイントになります。
【外部連携のメリット】
新規顧客の開拓、収益の多様化、ブランド価値向上、実績獲得。
教室の成長を次のステージへと押し上げる、強力なエンジンとなります。

2. どんな相手と連携できる?提携先の探し方とアプローチ例

あなたの教室と連携することで、相手方にもメリットがある提携先は、地域にたくさん眠っています。

提携先の種類 アプローチの切り口・提案内容の例 見つけ方
子育て支援センター・児童館・公民館 「未就園児向けの無料リトミック講座を開催しませんか?」
「小学生向けに夏休みの特別工作教室を企画しませんか?」
自治体のウェブサイトで担当課を探すか、直接施設に電話して企画担当者に繋いでもらう。
商業施設・ショッピングモール 「週末のイベント広場で、親子で楽しめる体験イベントを実施し、集客に貢献します」
「貴施設の会員様限定の特別割引レッスンを提供します」
施設のウェブサイトでイベント担当部署やテナント管理部門の連絡先を探し、企画書を送付する。
住宅展示場・マンションギャラリー 「お客様がゆっくり見学できるよう、お子様向けのミニワークショップでキッズスペースを盛り上げます」 近隣の展示場やギャラリーに直接電話し、店長やイベント担当者と話す。不動産デベロッパーの本社に提案する。
企業(福利厚生・イベント担当) 「従業員様向けのファミリーデーやクリスマス会で、子供向けコンテンツを提供します」
「福利厚生の一環として、従業員様のお子様向けオンラインレッスンを提供しませんか?」
地域の商工会議所などでネットワークを作る。企業のウェブサイトから人事部や総務部に問い合わせる。
幼稚園・保育園 「正課の授業として、英語や体操のレッスンを担当させてください」
「預かり保育の時間に、オプションの特別教室を開講させてください」
近隣の園に直接電話し、園長先生にアポイントを取る。地域の私立幼稚園協会などに問い合わせる。

3. 提案から開催までの進め方【5ステップ】

提携したい相手が見つかったら、以下のステップで慎重に進めていきましょう。

  1. 魅力的な企画書・提案書の作成
    最も重要なのは、「自分の教室の紹介」ではなく、「相手のメリット」を先に示すことです。
    「このイベントを実施することで、貴施設にはこれだけの集客効果が見込めます」「この講座は、貴社の従業員満足度向上に繋がります」といった、相手目線でのメリットを明確に打ち出しましょう。
    その上で、具体的なレッスン内容、所要時間、対象人数、費用などを分かりやすく記載します。
  2. アポイントと交渉
    企画書を元に、電話やメールで担当部署にアポイントを取ります。
    打ち合わせでは、熱意を伝えつつも、相手の要望や懸念点を丁寧にヒアリングする姿勢が大切です。
  3. 役割分担と条件の明確化
    口頭で合意した内容は、必ず書面にまとめましょう。
    会場の準備、集客(広報)、参加者の申し込み受付、当日の運営スタッフ、費用負担(講師料、材料費、交通費など)について、どちらが何をどこまで担当するのか、細かく確認し、認識をすり合わせます。
  4. 契約書の締結
    どんなに小さなイベントでも、口約束は絶対にNGです。
    取り決めた内容を元に、簡単なものでも良いので必ず契約書(または覚書)を作成し、双方で署名・捺印を交わしましょう。これが、後の「言った・言わない」トラブルを防ぎます。
  5. 当日の運営と事後報告
    当日は、提携先の担当者とも密に連携し、プロとして質の高いレッスン・イベントを提供します。
    終了後は、速やかにお礼状を送るとともに、参加人数やアンケート結果などをまとめた簡単な実施報告書を提出すると、非常に丁寧な印象を与え、次の依頼に繋がります。

常に「相手への貢献」を第一に考える姿勢が、信頼関係を築き、継続的なパートナーシップへと発展する鍵です。

【連携成功のステップ】
相手目線の企画書 → 交渉 → 役割分担の明確化 → 契約書締結 → 丁寧な運営と事後報告。
特に企画書と契約書は、ビジネスとしての成功を左右する重要なポイントです。

4. 先輩オーナーの声:初めての企業イベント、成功の裏側

実際に外部連携を成功させた先輩オーナーは、どのような点を意識したのでしょうか。

「私の大きな転機は、地域のショッピングモールで夏休みイベントを担当させてもらったことです。」

「最初の提案書は、自分のサイエンス教室がいかに素晴らしいかを力説するだけで、あっさり断られました。そこで、考え方を変えたんです。」

「次に作った提案書は、『この無料サイエンスショーで、貴施設の週末の親子連れ集客数を1.5倍にします』というタイトルにしました。そして、いかに親子が楽しめるイベントで、滞在時間が延びるかを具体的に説明したんです。そうしたら、担当者の方の反応が全く違いました。」

「自分の『やりたいこと』を語るのではなく、相手の『課題を解決する』という視点に立つ。これが、外部連携を成功させる一番の秘訣だと学びました。このイベントがきっかけで教室の知名度も上がり、たくさんの生徒さんが入会してくれました。」

(サイエンス教室 運営者の声)

5. まとめ:「教室」を飛び出し、新たな可能性を掴もう

企業や団体との連携は、あなたの教室の存在をより多くの人に知ってもらい、新たな成長のステージに進むための、非常に効果的な手段です。

成功の鍵は、「自分の教室の魅力を、相手のメリットにどう繋げるか」というビジネス視点を持つことです。

あなたの教室が持つ独自の価値は、地域社会の様々な場所で求められています。
勇気を出して教室の外に一歩踏み出し、新しいパートナーシップを築くことで、あなたの教室の可能性は無限に広がっていくでしょう。

6. 連携事業における注意点

外部と連携して事業を行う際には、以下の点にご注意ください。

  • 契約内容の遵守
    取り決めた役割分担や条件は、必ず守りましょう。ビジネスとしての信頼関係が第一です。
  • 保険の確認
    出張先の施設で万が一の事故が起きた場合に備え、ご自身が加入している賠償責任保険の補償範囲を確認しておきましょう。イベントによっては、別途イベント保険への加入が必要な場合もあります。
  • 費用負担の明確化
    交通費、材料費、資料の印刷代など、細かい費用についても、どちらが負担するのかを事前に明確にしておかないと、後々のトラブルの原因になります。

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