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【2025年版】教室経営者のための確定申告完全ガイド - 白色・青色申告の違いとやり方

「この経費はどこまで認められるの?」「白色と青色、どっちがお得なの?」
年に一度、必ずやってくる確定申告のシーズン。教室のレッスンや運営で忙しい中、複雑な税金の計算に頭を悩ませている先生も多いのではないでしょうか。

確定申告は、個人事業主である教室経営者にとって避けては通れない大切な義務です。しかし、正しく理解して準備すれば、払いすぎた税金を取り戻したり、翌年以降の税負担を軽くしたりできる強力な味方にもなります。

この記事では、2024年分の所得を2025年に行う確定申告について、教室経営者が知っておくべき白色申告と青色申告の根本的な違いから、具体的な申告手順、そして節税に繋がる経費の考え方まで、分かりやすく解説します。

1. そもそも確定申告とは?

確定申告とは、個人が1年間(1月1日〜12月31日)に得たすべての所得(売上から経費を引いた儲け)と、それに対する所得税の額を計算し、国(税務署)に報告・納税する手続きのことです。個人事業主である教室経営者は、原則としてこの確定申告を行う必要があります。

今回の【2025年版】で対象となるのは、「2024年1月1日〜12月31日」の所得で、申告期間は原則として「2025年2月17日〜3月17日」となります。

2. 【最重要】白色申告と青色申告、何が違う?徹底比較

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。どちらを選ぶかで、税金の額が大きく変わる可能性があります。その違いを一覧表で見てみましょう。

比較項目 白色申告 青色申告
帳簿のつけ方 簡易な帳簿(お小遣い帳レベル)でOK 原則、複式簿記(会計ソフトを使えば難しくない)
特別控除(節税メリット) なし 最大65万円、55万円、または10万円の所得控除あり
赤字の繰越 不可 赤字を最大3年間繰り越せる
家族への給与 一部のみ経費にできる(専従者控除) 妥当な金額であれば全額経費にできる(要届出)
事前の手続き 不要 原則、開業から2ヶ月以内または申告する年の3月15日までに「開業届」「青色申告承認申請書」の提出が必要

簡単に言うと、白色申告は「手間は少ないが、税金の特典はなし」青色申告は「手間は少し増えるが、税金の特典が非常に大きい」という違いがあります。

3. 結局、私はどっちを選ぶべき?

▼ 白色申告が向いている人
  • 開業したばかりで、まだ所得がほとんどない人
  • 帳簿付けにどうしても時間を割けない人
▼ 青色申告が向いている人
  • 少しでも税金を安くしたいすべての人
  • 事業が軌道に乗り、年間所得が48万円以上ある人
  • 会計ソフトの利用に抵抗がない人

結論から言うと、事業として教室を運営していくなら、青色申告(特に最大65万円控除)を目指すのが圧倒的におすすめです。「複式簿記」と聞くと難しく感じますが、最近の会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を使えば、指示に従って入力するだけで自動的に作成してくれます。

4. 確定申告の5ステップ:準備から納税まで

確定申告は、以下の流れで進めます。直前になって慌てないよう、計画的に進めましょう。

  • Step 1:日々の帳簿付けと書類の整理
    1年間の売上(月謝など)と経費(家賃、教材費など)を記録します。レシートや領収書は月別にまとめて保管しましょう。これが全ての土台です。
  • Step 2:決算書の作成
    1年間の帳簿を元に、「損益計算書」と「貸借対照表」(青色申告の場合)を作成します。会計ソフトを使っていれば、ボタン一つで自動作成されます。
  • Step 3:確定申告書の作成
    国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使い、決算書の内容や各種控除(生命保険料控除など)を転記して申告書を完成させます。
  • Step 4:税務署へ提出
    作成した申告書を提出します。自宅から提出できる「e-Tax(電子申告)」が、青色申告65万円控除の条件でもあり、最もおすすめです。その他、郵送や税務署へ直接持参する方法もあります。
  • Step 5:納税または還付
    計算した所得税を納付します(口座振替、クレジットカード、コンビニ払いなど)。源泉徴収などで税金を払いすぎていた場合は、後日指定の口座に還付金が振り込まれます。

5. 【節税のキホン】教室経営で経費にできるもの・できないもの

経費を漏れなく計上することが、節税の第一歩です。「事業(教室運営)のために使った費用」は経費になります。特に自宅教室の場合は「家事按分」という考え方が重要です。

▼ 教室運営で経費にできるものの例
  • 地代家賃:教室の家賃、自宅教室の場合は床面積や使用時間で按分した家賃
  • 水道光熱費:教室の電気・水道・ガス代。自宅教室の場合は按分。
  • 教材費・消耗品費:楽譜、テキスト、文房具、お菓子など。
  • 広告宣伝費:チラシ印刷代、ホームページのサーバー代、PPC広告費など。
  • 通信費:教室用の電話代、インターネット料金。自宅と兼用の場合は按分。
  • 研修費:セミナー参加費、指導法を学ぶための書籍代など。

※家事按分とは?
自宅兼教室の家賃が月10万円で、全体の40%を教室として使っている場合、10万円×40%=4万円を「地代家賃」として経費に計上できます。この「事業で使った割合」を合理的に説明できることがポイントです。

6. 先輩オーナーの声:青色申告に変えて、見えた世界

「ピアノ教室を始めた最初の2年は、よく分からずに白色申告でした。でも生徒さんが増えて所得も上がってきたので、税理士さんの無料相談で『青色申告にしないともったいないですよ』と言われたんです。」

「『複式簿記なんて無理!』と思っていましたが、思い切って会計ソフトを導入。最初は戸惑いましたが、慣れるとレシートをスマホで撮るだけで入力できたりして、むしろ白色の時より管理が楽になりました。何より、初めて65万円の控除を受けた年の納税額が前年よりぐっと減ったのを見たときは、本当に驚きました。もっと早く始めればよかったです。」

(ピアノ教室 運営者の声)

まとめ:早めの準備で、確定申告を味方につけよう

確定申告は、面倒な作業に思えるかもしれません。しかし、自分の教室の経営状況を数字で正確に把握し、適切な節税を行うための年に一度の健康診断のようなものです。

特に、青色申告は個人事業主にとって国が用意してくれた最大の節税策です。会計ソフトなどを上手に活用し、ぜひチャレンジしてみてください。何より大切なのは、直前で慌てないこと。日々の記帳を習慣づけ、余裕を持って準備を進めましょう。

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